妻夫木聡、檀れい主演により2009年に公開された映画「感染列島」。
日本でもしも強力なウィルス感染が広まったらどうなるのかというシミュレーションを元にしたパニック映画ですが、公開当時は「予防が雑」「政府の動きが適当過ぎる」と、いまいち現実感が無いとう点で酷評されていました。
しかし実際に映画を超えるスケールで、それこそ人類滅亡してしまうのではないかというほどの緊急事態に遭遇している現代に見てみると、あながち間違ってもいないというか、現実の方が深刻だし雑なのではないのかと再評価されています。
とうとう緊急事態宣言が出された今、この映画は日本人がどう行動すべきなのかというヒントとなり得るのでしょうか?
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感染列島とは
感染列島は、2009年に妻夫木聡主演、瀬々敬久監督により製作されたディザスタームービーです。
2011年1月。医師の松岡剛が勤める病院に、新種のウィルスに冒された急患が運び込まれ、ワクチンの投与も効果がなく肺炎・多臓器不全・痙攣・全身からの出血を伴う症状が現れた末に死に至ります。
同じ頃、病院の近くにある養鶏場の鶏がインフルエンザにより大量死していた頃から、その死因は新型の鳥インフルエンザ感染であると推測されました。
そのウィルスは病院のスタッフにも広がり、更には接触感染によって他の地域にも拡大。日本はパンデミックに陥り、社会機能が停止する事態となります。
リアリティがないと酷評されたが
医師が直接感染元の国へ出向いて治療法を探したり、病院内でのスタッフの服装が軽装過ぎるという指摘があり、当時は酷評が目立っていました。
しかし2020年、世界的パンデミックに陥った今見ると、あながちフィクションともいえない描写がいくつも出てきます。
リサーチに基づいた感染拡大
感染列島、、感染経路といい今のコロナみたいで映画と思って気軽に観れない、、 pic.twitter.com/MSe5UtRDua
— TO (@Nyan3Cocomi) April 6, 2020
映画では、最初に感染者が出た病院を隔離病棟として水際対策を行いましたが、感染は拡大。
致死率約50%という死のウィルスが蔓延し、列島がパニックに陥ります。
映画の冒頭では、感染症が広がった小国でのWHOによる対応と、咳をする男性から飛沫感染してゆく様子がかなり分かりやすく描かれています。
映画の光景が現実に
壇れい演じるWHOメディカルオフィサーの小林は、以下の4つを明らかにしなければならないとしています。
- ウィルスの正体
- 引き起こす症状
- 感染経路の究明
- 治療法
この中の感染経路について、最初は鳥インフルエンザだと思われていたウイルスにタミフルが効かないことから、別の種類のウィルスが海外から持ち込まれたと考えます。
調査してゆく一方で、閉鎖された遊園地や買いだめで戦場と化したスーパー、田舎へ疎開する家族など、今ニュースで起こっている光景がそのまま出てきます。
今回の新型コロナと異なる点は、感染が日本だけに留まり、海外からの旅行客について考慮されていないところでしょうか。
また10年前の映画なのでSNSでの拡散といった影響がなく、デマの拡散や市民が情報を共有して協力し合うという描写はありませんでした。
社会崩壊と医療崩壊が同時に起こる
感染列島:今の病院事情がこれに似てるって聞いたから、早速見てみたけどアバァ…ってなったわ…。生存確率が高い人間に色んな物を回さないといけないから、重篤患者が追いやられていく。本当、今病院で働いてる人は相当キツイと思う。途中で子供と別れたお母さんとか…もうアヒィン…_(:3」∠)_
— くるお (@quruo960) April 3, 2020
感染拡大により社会の基盤が崩壊し、街は感染者探しが行われてスラムと化します。
ウィルスの正体と治療法を懸命に探すも感染者・死者ともに増加し、医療器具の数も間に合わなくなります。
次々と患者が運ばれ、ベッドも危惧も足りない過酷な環境の病院で、治療も虚しく命を落とす姿を日常的に見ることに限界を迎えたスタッフが退職してゆきます。
そんな医療崩壊が起こる傍らで、遺体の数が多すぎて埋葬先がなく、都市の一部に死体袋が並べられているという場面も。これらは全て今回最も甚大な被害となったイタリアを想起させます。
感染源は海外で働く日本人医師
この映画で感染源となったのは、嶋田久作演じる日本人医師でした。
海外の島国で働いていた彼は現地で蔓延していたウィルスに感染。小国であったため報道されず、帰国した日本でそのまま感染が拡大してしまいます。
予算の都合で日本国内のみでの感染拡大に留めていますが、実際はこれだけ感染力の強いウィルスであれば帰国する際の飛行機で感染し、今回のように世界中へ拡大すると考えるのが自然といえるでしょう。
彼の娘を池脇千鶴が演じているのですが、感染源の家族がバッシングされ、罪悪感に苛まれて精神が疲弊している姿は、身内が新型コロナに感染した人や、横浜のクルーズ船で隔離されていた人々の気持ちを代弁しているといえます。
最初感染元とされた養鶏場の娘がイジメに遭ったり、追いつめられて我を忘れた市民が暴走したりと、道徳的な部分にも訴えかける演出が利いています。
無料で見られるところもあるので、情操教育として子供や学生に見せるのも効果的だと思います。
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今後ロックダウンが起こったら
映画の中での政府は、どちらかというと社会主義的な思想を持っているように描かれています。
中盤あたりの比較的早い段階で都市封鎖(ロックダウン)が行われてたのですが、自衛隊主導で民間の声を聞く前に封鎖を強行したことから秩序が乱れ始めます。
その結果更なる混乱を招いて都市構造が崩壊することへと繋がり、事態を悪化させることにもなったといえます。
ネットは繋がるので、冷静な対応を
感染症問題の場合、地震や台風などのように無機物への被害は出ないので、電波が届かず情報が入らないという事態は起こりません。
マスクをして手洗い、うがいをしていれば大丈夫というわけでもなく、スーパーやコンビニのレジで現金支払いをすることで、お釣りの紙幣や硬貨から感染することもあります。
また、感染拡大防止ばかりに目を向けられていますが、治療法の進展に関しても知っておくべきです。テレビでは各所の許可が下りず情報の更新が遅いので、身の回りにネットが使えない人がいれば情報を共有するように心がけた方が良いと思います。
家にいる間はこのような作品で楽しみながら、自分の取るべき行動のヒントを吸収しておきましょう。